中国語学習に役立つ朗読テクニック

神戸三宮一粒中国語教室の李です。
今月(2020/12/6)は孔子学院主催の講演会「人々を魅了する中国語の朗読テクニック」に参加しました。以前から朗読のスキルアップをしたいなとずっと考えていましたので、私にとっては喉から手が出るほど聞きたいテーマでした。ここに学んできたポイントと私なりの理解を加え書いてみます。中国語学習者に役立つ情報になれば幸いです。

朗読を中国語で何と言う

まずは、「朗読」は中国語で何と言うのかを見てみます。
日中中日辞典で調べたら、次のような解釈がありました。
【朗読】ろうどく:朗读lǎngdú,朗诵lǎngsòng.
例:
・脚本の朗読:朗读剧本jùběn.
・詩を朗読する:朗诵诗shī.
どうやら、朗読は中国語では”朗读”と”朗诵”がありますね。では、”朗读”と”朗诵”はどう違うの?と知りたい方もいるかもしれません。
中国の検索エンジン「百度」で調べてみました。次のように解釈しています(部分的に編集)。

中国語の”朗读”の意味

朗读(lǎngdú):清晰响亮地把文章念出来。
例:朗读课文。
朗读(reading aloud),是一种大声的阅读方式,它是小学生完成阅读起点的基本功;就语言学习而言,无论中文还是英文等任何语言学习,朗读是最重要的。

日本語に直訳してみると次のようになります。
朗読(lǎngdú):はっきりした大きな声で文章を読む。※日本語の「音読」に当たると思われますので、以下は「音読」と言います。
例:本文を音読する。
朗読(音読)は、大きな声で閲読する方法で、小学生の読解のスタート時点の基礎です。言語学習においても、中国語であろうと英語であろとどんな言語の学習にとっても、音読は最も重要な方法です。
※日本の小学校は低学年ならほぼ毎日音読の宿題があり、音読を確認するための「音読カード」がありますよね。やっぱり音読は外国語学習だけではなく、自国の国語学習にもとても重要な方法であることを示しているのではないでしょうか。

中国語の”朗诵”の意味

朗诵(lǎng sòng):大声诵读诗或散文,把作品的感情表达出来。
例:诗歌朗诵会。
朗诵,是把文字作品转化为有声语言的创作活动。朗诵,就是用清晰、响亮的声音,结合各种语言手段来完善地表达作品思想感情的一种语言艺术。

日本語に直訳してみると次のようになります。
朗読:大きな声で詩或いは随筆を読み、作品の感情を表現し出す。
例:詩歌の朗読会。
朗読は、文字作品を音声(作品)に変える創作です。朗読ははっきりとした響きが通った声で、様々な言語手段を用いて作品の思想と感情を完全に表現する言語芸術です。

☛上記の説明を見てみると、音読も朗読も「はっきりとした大きな声で読む」点が共通していて、異なる点は朗読が「作品の感情を表現し出す」ことを強調され、「言語芸術」とされているようですね。「字を書く」ことで考えると、音読が「書写」で、朗読が「書道」のような感じでしょうか。

中国語学習に役立つ朗読テクニック

朗読がうまくなるためには、文字)・詞(語句)・句(文)・篇(文章)の4つの項目それぞれの重要なポイントを理解した上に、じっくりと文章の真の意味を読み取り感じ取って、感情を入れて朗読する必要があります。次はこの4つの項目を見てみましょう。

中国語の字(文字)について

中国語は単音節であり、文字一つ一つ発音を持ち、一般的に「声調」「子音」と「母音」から構成されています。
「声調」は四つの声調(第一、二、三、四声)から構成されています。ただ、もう一つ「軽声」との声調もあります。
文字の発音は基本的に「子音+母音+声調」との組み合わせになりますが、中でもほんの一部の単語は「母音」単独で発音します。
声調・子音・母音の組み合わせから、1300個以上の発音があるそうです。

中国語は一文字に付一つの発音になるので、文字一つ一つをはっきりと発音していく必要があります。日本語の発音と比べると、中国語の方が「口型」がしっかりし、力が入っています。発音学習の段階からこれを念頭に置いて練習するとより中国語らしい中国語が身に付けるのではないかと思われます。

中国語の詞(語句)について

語句になると、発音・声調はもちろんですが、「軽重形式(軽く発音する箇所と強く発音する箇所の組み合わせ)が出てきます。
講演会の有名な中国人アナウンサーの先生の話によると、中国語の詞(語句)には中重(中強)・重中(強中)・重軽(強軽)の3パターンがあります。
・中強:約70%示しています。例えば:如、 大、 大
・強中:約10%示しています。例えば:度   红色   
・強軽 : 们 亮 
※太文字は強く発音する箇所です。
中国語初級から教科書などの音声を聞きながら観察してみても面白いかもしれませんね。

中国語の句(文)について

中国語の句(文)については、「停連重音(停止するところ、繋がるところ、強く発音するところ)」が重要になります。
また、「」を大きく「揚停(あとまだ続きがある場合)」と「落停(終わりの場合)」があり、終わりかどうかを示す役割です。
」は「直連」と「曲連」があり、句読点の意味を「直連・曲連」で表す。
「停」の役割を表す例文:
小李对小王不好
①小李 对小王不好 (李さんは王さんによくない(優しくない))
②小李对 小王不好 (李さんが正しい、王さんがよくない)
「停」の箇所によって①と②の意味が全く異なることになりましたね。これは「停」の役割の事例です。

重音(強く発音する)は、アナウンスする(朗読・会話も含めると思う)とき、文の目的によって、考えや感情を強調することが必要である語句に使われます。
例:
我 去 (””を強調)
②我 去 (””を強調)
強調する箇所は、しっかり文を理解の上、前後の繋がりから判断する必要がありますので、中長期的な目標として考えた方が良いでしょうね。

中国語の篇(文章)について

中国語の篇(文章)については、「語気」と「リズム」が大切になります。
語気」は人間の喜・怒・哀・楽・欲・悪など様々な感情が現れます。
リズム」は有声言語の形の一つで、朗読者の感情の波瀾による抑揚頓挫、強弱と緩急の音声の組み合わせと繰り返しです。

また、朗読のテクニックは、「情景再现(場面の再現)」「内在语(内的な意味)」「对象感(聞き手の受け止めと反応)」を含めます。
・情景再现(場面の再現):生き生きとした言葉で現場の出来事などを正確に聞き手に伝えるようにする。
・内在语(内的な意味):文字の裏に隠されたメッセージ・意味を読み取れるようにする。
・对象感(聞き手の受け止めと反応):聞き手の存在、反応を意識しながら、「あなたに話している」と感じさせる。

まとめ

朗読は「感情の表現と情報の伝達」の方法の一つです。
発音はもちろん基礎であり、大切であることが言うまでもありません。
ただし、ネイティブのスピードではない中国語学習者(実際ネイティブも同じと考える)の場合は、「感情を正確に表現する」ことを第一に、その次に「発音を正確に読む」ことを考えた方が、伝えたいことが伝わりやすくなるのではないかと考えます。すなわち、全体の語気・語調(イントネーション)を正確に捉えることを第一に、「語句・文字」の発音は第二にしたらどうでしょうかとのことです。
日常会話における情報伝達・コミュニケーションの点からも、まったく同じことを言えるでしょう。「森を見て、林・木を見る」とのイメージでしょうか。

※実践練習【如果没有李白

早速練習してみました。
練習中に録音した音声(5分34秒)を添付し、原文を貼り付けます。
また、音声は編集していなく、雑音も入っておりますので、予めご了承ください。

如果没有李白

如果没有李白,似乎没有太大的影响,不过千年前少了一个文学家《全唐诗》会变薄一点点,但程度相当有限。
如果没有李白,几乎所有唐代大诗人的地位都会提升一档。
李商隐不用再叫小李,王昌龄会是唐代绝句首席,杜甫会成为最伟大的诗人,没有之一。
如果没有李白,我们应该会少背很多唐诗,少用很多成语。
说童年,没有青梅竹马;说爱情,没有刻骨铭心;说享受,没有天伦之乐;说豪气,没有一掷千金。
浮生若梦、扬眉吐气、仙风道骨这些词都不存在。
蚍蜉撼树、妙笔生花、惊天动地也都不见了踪迹。
如果没有李白,我们的生活应该会失去不少鼓励。
犯了难,说不了“长风破浪会有时”;想辞职,说不了“我辈岂是蓬蒿人”;处逆境,说不了“天生我材必有用”;赔了钱,说不了“千金散尽还复来”。
更不要说“大鹏一日同风起,扶摇直上九万里”、“安能摧眉折腰事权贵,使我不得开心颜!”。
如果没有李白,我们熟悉的神州大地也会模糊起来。
我们不再知道黄河之水哪里来?庐山瀑布有多高?燕山雪花有多大?桃花潭水有多深?蜀道究竟有多难?
白帝城,黄鹤楼,洞庭湖的名气都要略降一格。黄山,天台山,峨眉山的风景也会失色几许。
如果没有李白,历朝历代的文豪词帝也会少了很多名句。
没有“举杯邀明月”,苏东坡未必会有“把酒问青天”;没有“请君试问东流水”,李后主不会让“一江春水向东流”;没有“事了佛衣去,深藏身与名”,金庸的武侠江湖将会天缺一角《侠客行》。
千百年来,蜀人以李白为蜀产,陇西人以为陇西产,山东人以为山东产。
一个李白,生时无所容入,死后千百年,慕而争者无数。
是故,无处不是其生之地,无时不是其生之年,他是天上星,亦是地上英,亦是巴西人,亦是陇西人,亦是山东人,亦是会稽人,亦是浔阳人,亦是夜郎人。
死之处亦荣,生之处亦荣,流之处亦荣,囚死之处亦荣。
不游,不囚,不流,不到之处,读其书,见其人,亦荣亦荣。
幸甚至哉,我们的历史有一个李白!
幸甚至哉,我们的心中有一个李白!
你是谪仙人,你是明月魂!

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